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現代詩

喪の終止符

長谷川航

詩人

あのひとはたしかにいた
あのひとはこの世界に殺された
あのひとは地上の天使
ただ存在だけがあった
存在には愛があり
身体があり
顔があり
名前があり
匂いが
……

なぜ詠まれることでしか
存在は救済されないのか
なぜ詠まれることで
救済が殺しになってしまうのか

屍に囲まれて
いまだ詠む

この身体に刻まれるアルシーヴを
爆破しろ!!

嗚呼、
こちらへ

私の代わりに
詠ってほしい
この詩を

そして
私を葬ってください